【声明】集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し、決定の撤回を求める
安倍内閣は、7月1日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をおこなった。福祉保育労は、この閣議決定が憲法前文と9条で掲げている「恒久平和主義」・「戦争放棄」の理念を180度変えて国民の命を危険にさらす暴挙であることに、満身の怒りをもって抗議するとともに、決定の撤回を強く求めるものである。
そもそも、憲法を擁護する義務を負う国務大臣の集まりである閣議で都合よく解釈を変えることは立憲主義を否定するものであって、とうてい認めることはできない。歴代政府が憲法9条を根拠に集団的自衛権の行使を容認してこなかったことを否定し、日本を「戦争ができる国」に変えることには、どんな言い訳も通用しない。
安倍首相は、「新たな3要件は限定的であり、憲法の規範性を何ら変更していない」「現行の憲法解釈の基本的考え方と何ら変わることがない」と強弁している。その新たな3要件には、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と、憲法13条の幸福追求権が引用されている。
しかし、憲法13条は、「立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」として、命を大切にして自由で幸福に生きるために国政があること、つまり国の責任で福祉を保障することを求めている。安倍首相の論理は、福祉のために武力行使をおこなう戦争も辞さないで国民の命をおびやかすという、矛盾に満ちたものである。国民の命を軽んずる安倍内閣の姿勢は、閣議決定と同じ日に、厳罰化による不正受給抑制と受給者の削減をねらった改正生活保護法が施行されたことにも象徴されている。
この間、集団的自衛権の行使容認に対しては、改憲賛成の研究者や地方議員も含めて批判が広がり、官邸前では若い世代も参加した抗議行動が展開され、マスコミ報道も批判を強めてきた。多くの人が声を上げることで、行使容認反対の世論は日に日に大きくなっている。
福祉保育労は、一貫して「平和こそ最大の福祉」であることを主張し、戦争と福祉が両立しないことを訴え続けてきた。これからもその姿勢を変えることなく、憲法を学び語ることで憲法が国民に保障する自由及び権利を維持する不断の努力をしていく。平和を求める多くの国民と手をつないで閣議決定の撤回を迫り、政府がすすめる集団的自衛権の行使に向けた具体的な法整備を許さないたたかいを広げていく決意を表明する。
2014年7月4日
全国福祉保育労働組合
中央執行委員長 前田 鉄雄
副中央執行委員長 多久和令一
同 國米 秀明
同 清水 俊朗
同 仲野 智
同 小山 道雄
書記長 澤村 直
書記次長 民谷 孝則
同 山田 敦子
◇PDFファイル【声明】集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し、決定の撤回を求める
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